2006年12月28日

個別注記表(中小企業の会計に関する指針)

会社計算規則の規定

 会社計算規則では、重要な会計方針に係る事項に関する注記等の項目に区分し、個別注記表を表示するよう要求。

 それら以外で貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書により会社の財産又は損益の状態を正確に判断するため必要な事項は注記しなければならない。

 個別注記表は、「注記表」という1つの書面で作成しなければならないのでなく、貸借対照表などの注記事項として記載することも可。

 会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)の個別注記表(@)や会計監査人設置会社以外の公開会社の個別注記表(A)の注記項目は
以下の通り。

 (注記を要求される項目……○、注記を要求されない項目……×)


(1) 継続企業の前提に関する注記@×A×
(2)重要な会計方針に係る事項に関する注記 @ ○A○
(3)貸借対照表に関する注記 @×A○
(4)損益計算書に関する注記 @×A○
(5) 株主資本等変動計算書に関する注記@○A○
(6) 税効果会計に関する注記@×A○
(7)リースにより使用する固定資産に関する注記 @×A○
(8) 関連当事者との取引に関する注記 @×A○
(9) 一株当たり情報に関する注記@×A○
(10)重要な後発事象に関する注記@×A○
(11)連結配当規制適用会社に関する注記@×A×
(12)その他の注記 @○A○


本指針によることの注記

 本指針により計算書類作成の場合はその旨の注記が必要。

役員と会社間の取引について

 役員の個人的信用が重視される中小企業の特性を考慮し、役員と会社間の取引も注記事項として開示することが望ましい。

電磁的方法による決算公告との関係

 電磁的方法で決算書類を公開できる。⇒注記による情報量の増加も負担にならない



個別注記表の規定

(会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)の個別注記表の場合)

<個別注記表>

1.重要な会計方針に係る事項に関する注記

 @ 資産の評価基準及び評価方法

 A 固定資産の減価償却の方法

 B 引当金の計上基準

 C 収益及び費用の計上基準

 D その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項

2.会計処理の原則又は手続を変更したときは、その旨、変更の理由及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

3.表示方法を変更したときは、その内容

4.株主資本等変動計算書に関する注記

 @ 当該事業年度の末日における発行済株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類ごとの発行済株式の数)

 A 当該事業年度の末日における自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類ごとの自己株式の数)

 B 当該事業年度中に行った剰余金の配当に関する事項

 C 当該事業年度の末日後に行う剰余金の配当(当該事業年度に係る定時株主総会の終結後に法第454条第1項各号に掲げる事項を定めるものを除く。)に関する事項

 D 当該事業年度の末日における当該株式会社が発行している新株予約権(法第236条第1項第4号の期間の初日が到来していないものを除く。)の目的となる当該株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、種類及び種類ごとの数)

5.その他の注記





個別注記表の例示

(会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く。)の個別注記表の場合)

1.この計算書類は、中小企業の会計に関する指針によって作成しています。

2.重要な会計方針

(1)資産の評価基準及び評価方法

 @ 有価証券の評価基準及び評価方法

ア 時価のあるもの

 期末日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法によって処理し、売却原価は移動平均法により算定しています。)

イ 時価のないもの

 移動平均法による原価法

A 棚卸資産の評価基準及び評価方法

 総平均法による原価法 ただし、原材料は最終仕入原価法

 (会計方針の変更)
 従来商品については最終仕入原価法による原価法を採用していましたが、当期から総平均法による原価法に変更しました。この変更による影響は軽微です。

(2)固定資産の減価償却の方法

有形固定資産

法人税法の規定による定額法、ただし、機械及び装置は定率法

無形固定資産

法人税法の規定による定額法

(3)引当金の計上基準

  貸倒引当金

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権について法人税法の規定による法定繰入率により計上するほか、個々の債権の回収可能性を勘案して計上しています。

  賞与引当金

従業員の賞与支給に備えるため、支給見込額の当期負担分を計上しています。

  退職給付引当金

従業員の退職給付に備えるため、退職金規程に基づく期末要支給額により計上しています。

(特則を適用している場合)

  なお、末價却の適用時差異残高は、×××千円(残存償却年数×年)であります。

(4)その他計算書類の作成のための基本となる重要事項

 @ リース取引の処理方法

  リース物件の所有権が借主に移転するもの以外のファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっています。

A 消費税等の会計処理

  消費税等の会計処理は、税抜方式(又は税込方式)によっています。

3.重要な後発事象に関する注記

平成×年×月×目開催の取締役会において、○○○を決議いたしました。
これによる影響額は、×××千円であります。

4.その他の注記

有形固定資産の減価償却累計額    ×××千円


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「個別注記表」の概要
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2006年12月02日

決算公告と貸借対照表及び損益計算書並びに株主資本等変動計算書の例示

決算公告

 株式会社は、貸借対照表を公告しなければならない(会社法第440条第1項)。
 公告方法が官報又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙である株式会社は、貸借対照表に記載又は記録された情報を電磁的方法で公開できる(会社法第440条第3項)。
 その場合は、要旨でなく、貸借対照表そのものを開示する必要。

 貸借対照表のみならず、損益計算書も開示を行うことが望ましい。
 電磁的方法を採用する場合、要旨でなく、記載又は記録されているものをそのまま公開。あえて要旨を作成する作業又は注記を省略するという作業は必要ないため、事務的負担が増えることはなく、実務的には要旨の公開よりも容易。

貸借対照表及び損益計算書並びに株主資本等変動計算書の例示

 貸借対照表及び損益計算書並びに株主資本等変動計算書の例示では、項目の名称は一般的なものを示しており、企業の実態に応じより適切に表示すると判断される場合は、項目の名称変更又は項目の追加を妨げるものでない。

キャッシュ・フロー計算書

 会社法上、キャッシュ・フロー計算書の作成は要求されていない。 

 経営者自らの会社の経営実態の正確な把握、金融機関・取引先からの信頼性の向上を図るため、キャッシュ・フロー計算書の作成が望ましい。



日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「決算公告」の概要
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2006年11月30日

組織再編の会計(中小企業の会計に関する指針)

●企業結合会計

概要

 企業結合とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構成する事業とが1つの報告単位に統合されること。

 企業結合の形式は、合併、会社分割、事業譲渡、株式交換、株式移転など。

 会計上は、組織再編の形式にかかわらず、企業結合の会計上の分類(取得、持分の結合、共同支配企業の形成、共通支配下の取引等の4つ)に基づき結合企業(吸収合併存続会社、吸収分割承継会社、新設分割設立会社、事業譲受会社など)に適用すべき会計処理が決定。 

 ある企業結合が行われた場合、それがどの企業結合の会計上の分類に該当するかの識別が必要。

資産及び負債の受入れに関する会計処理

 企業結合が取得と判定された場合は、結合企業は披結合企業(吸収合併消滅会社、吸収分割会社、新設分割会社、事業譲渡会社など)から受入れた資産及び負債に企業結合日の時価を付さなければならない。
 ただし、取得と判定された場合でも、結合企業(取得企業)が受け入れる資産及び負債につき、以下のいずれかの要件を満たす場合は、被結合企業(被取得企業)の適正な簿価を付すことができる。

@ 企業結合日の時価と被結合企業の適正簿価との間に重要な差異がないと見込まれる

A 時価算定が困難

 取得以外の企業結合の場合は、披結合企業の適正な簿価を付さなければならない。

 適正な簿価とは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行を斟酌し算定された簿価。

企業会計の基準等に照らし簿価に誤りがある場合は、引継時に修正を行う。

 結合企業が受入資産及び負債を時価以下の範囲で適宜に評価替えすることは認められない。

対価の支払いに関する会計処理

 企業結合が取得と判定された場合及び共通支配下の取引等のうち少数株主との取引(親会社と子会社が合併する場合で、少数株主が保有する子会社株式を交換する取引など)に該当する場合は、結合企業が交付する株式等の財は時価で測定しなければならない。

 株式等の財の時価算定が困難な場合は、上記「資産及び負債の受入れに関する会計処理」により算定された資産及び負債の時価を基礎とした評価額(時価の算定が困難な場合は適正な簿価による純資産額)を用いることができる。

増加する株主資本の会計処理

 企業結合が取得と判定された場合で対価として株式を交付したときは、払込資本(資本金、資本準備金及びその他資本剰余金のいずれか)を増加させる。
 企業結合が持分の結合と判定された場合は、披結合企業の株主資本の各項目をそのまま引き継ぐ。

●事業分離会計

概要

 事業分離とは、ある企業を構成する事業を他の企業(新設される企業を含む。)に移転すること。事業分離には、会社分割、事業譲渡などがある。

 会計上は、分離元企業(吸収分割会社、新設分割会社、事業譲渡会社など)にとって、移転した事業に対する投資が継続しているか、それとも清算されたかにより、適用すべき会計処理が決定。

投資が継続している場合

 投資が継続していると判定された場合は、分離元企業が分離先企業(吸収分割承継会社、新設分割設立会社、事業譲受会社など)から受け取った対価は、移転事業の適正な簿価に基づいて算定することになるため、財務諸表上、移転損益は発生しない。

 分離元企業が対価として株式のみを受け取り、その株式が子会社株式や関連会社株式に該当する場合は、投資は継続しているものとみなされる。

投資が清算された場合

 投資が清算されたと判定された場合は、分離元企業が分離先企業から受け取った対価は時価評価され、移転事業の適正な簿価との差額が移転損益として計上。
 分離元企業が受け取った対価が現金等の財産である場合は、通常、投資が清算されたものとみなされる。


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「組織再編の会計」の概要
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外貨建取引等(中小企業の会計に関する指針)

●取引発生時の処理

外貨建取引は、原則として、取引発生時の為替相場による円換算額で記録。

●決算時の処理

 外国通貨、外貨建金銭債権債務等の金融商品は、決算時に原則として次の処理を行う。

外国通貨は、決算時の為替相場による円換算額を付す。

外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)は、決算時の為替相場による円換算額を付す。

満期保有目的の外貨建債券は、外国通貨による取得価額又は償却原価法に基づく価格を決算時の為替相場で円換算した額を付す。

外貨建売買目的有価証券及びその他有価証券は、外国通貨による時価(その他有価証券のうち時価のないものは取得原価)を決算時の為替相場で円換算した額を付す。

子会社株式及び関連会社株式は、取得時の為替相場による円換算額を付す。

外貨建有価証券について時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により評価額の引下げが求められる場合は、外国通貨による時価又は実質価額を決算時の為替相場で円換算した額による。

●換算差額の処理

 換算差額及び決済差損益は、原則として営業外損益の部において当期の為替差損益として処理。

 有価証券を時価で計上した場合の評価差額に含まれる換算差額は、当該評価差額に関する処理方法に従う。

●ヘッジ会計

 外貨建取引に係る外貨建金銭債権債務と為替予約等との関係がヘッジ会計の要件を充たしている場合は、ヘッジ会計を適用できる。
 
 為替予約等により確定する決済時の円貨額により金銭債権債務等を換算し直物相場との差額を期間配分する方法(振当処理)も可。

●会計処理と法人税法上の取扱い

 会計処理が特殊な項目を除き決算時の為替相場で換算するのに対し、法人税法は外貨建資産等の期末換算に関し、外貨建資産等を一年基準により短期と長期に分類した上で、期末換算法を規定。

 外貨建その他有価証券を除き、換算方法等を税務署長に届け出ることで、「中小企業の会計に関する指針」の会計処理と法人税法上の取扱いを一致できる。

                        
●外国通貨   

会計上⇒決算時の為替相場
法人税法上⇒期末時換算法

●外貨預金

短期外貨預金 

会計上⇒決算時の為替相場  
法人税法⇒期末時換算法(法定換算法)又は発生時換算法
 
上記以外

会計上⇒決算時の為替相場  
法人税法⇒期末時換算法又は発生時換算法(法定換算法)


●外貨建債権債務

短期外貨建債権債務

会計上⇒決算時の為替相場(転換社債については、発行時の為替相場)
法人税法⇒期末時換算法(法定換算法)又は発生時換算法


上記以外

会計上⇒決算時の為替相場(転換社債については、発行時の為替相場)
法人税法⇒発生時換算法(法定換算法)又は期末時換算法

●外貨建有価証券

売買目的有価証券

会計上⇒期末時価を決算時の為替相場により換算
法人税法⇒期末時換算法


売買目的外有価証券

 償還期限及び償還金額のあるもの(満期保有目的)

 会計上⇒取得価額又は償却原価を決算時の為替相場により換算
 法人税法⇒発生時換算法(法定換算法)又は期末時換算法


 償還期限及び償還金額のあるもの(満期保有目的外)(注2)

 会計上⇒期末時価を決算時の為替相場で換算
(原則:換算差額は純資産の部に計上、例外:換算差額は当期の損益)
 法人税法⇒発生時換算法(法定換算法)又は期末時換算法

 償還期限及び償還金額のないもの(株式)(注2)

 会計上⇒期末時価を決算時の為替相場により換算
(換算差額は純資産の部に計上)
 法人税法⇒発生時換算法

 子会社株式及び関連会社株式

 会計上⇒取得価額を取得時の為替相場により換算
 法人税法⇒発生時換算法


(注1)外貨建取引、外貨建債権、外貨建債務、外貨建有価証券、発生時換算法及び期末時換算法とは、原則として、法人税法第61条の8《外貨建取引の換算》第1項及び同法第61条の9《外貨建資産等の期末換算差益又は期末換算差損の益金又は損金算入等》第1項に定めるものをいう。また、保有期間等が1年超であるか否かについては、期末時点で判定する。

(汪2)会計上は「その他有価証券」


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「外貨建取引等」の概要
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収益及び費用の計上(中小企業の会計に関する指針)

●収益及び費用の計上に関する一般原則

 企業の経営成績を明らかにするため、損益計算書に一会計期間に属するすべての収益と対応するすべての費用を計上(費用収益の対応原則)。

 原則として、収益は実現主義により、費用は発生主義により認識。

 収益・費用の計上について複数の会計処理の適用が考えられる場合、取引の実態を最も適切に表す方法を選択。

選択した方法は、毎期、継続して適用し、正当な理由がない限り、変更してはならない。

●収益認識

 収益は、商品等の販売や役務の給付に基づき認識され、企業は、各取引の実態に応じ、販売の事実を認識する時点を選択。

●商品等の販売・役務の給付に基づく収益認識基準

出荷基準 製品、商品等を出荷した時点

引渡基準 製品、商品等を得意先に引き渡した時点

検収基準 得意先が製品等の検収をした時点

輸出を伴う場合は、船積基準、通関基準等


●特殊な販売契約における収益認識基準

委託販売 

 受託者が委託品を販売した日(仕切精算書又は売上計算書に記録)。
販売のつど送付されている場合は仕切精算書到達日を売上収益の実現の日とみなすことができる。

試用販売 

得意先が買取り意思を表示したとき。

予約販売 

 予約金受取額のうち、事業年度末までに商品引渡し・役務給付が完了した分。残額は貸借対照表の負債の部に記載し次期以後に繰り延べる。

割賦販売 

 原則として、商品等を引き渡した日。
 割賦金の回収期限到来日又は割賦金入金日とすることができる。

●その他

長期の請負工事 

工事が完成し、引渡し完了日(工事完成基準)

又は

決算期末に見積もられた工事進行程度と適正な工事収益率を用いた方法(工事進行基準)により、収益計上。

●費用認識

 費用は、その支出(将来支出を含む。)に基づいた金額を、その性質により、収益に対応(個別対応又は期間対応)させ、その発生期間に正しく計上。


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「収益及び費用の計上」の概要
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純資産(中小企業の会計に関する指針)

●資本金

 資本金は、設立又は株式の発行に際し株主となる者が払込み又は給付した財産の額(払込金額)のうち、資本金として計上した額(会社法第445条)。

●剰余金

 剰余金は、払込資本を構成する資本剰余金と留保利益を表す利益剰余金に区分。

資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、以下の2つに区分

資本準備金

 増資による株式の払込金額のうち資本金に組み入れなかった株式払込剰余金等、会社法第445条第2項により、資本準備金として積み立てることが必要とされているもの及びその他資本剰余金から配当する場合で、利益準備金と合わせて資本金の額の4分の1に達していないときに計上しなければならないもの(会社法第445条第4項)等で。

その他資本剰余金

 資本剰余金のうち、会社法で定める資本準備金以外のもの。資本金及び資本準備金の取崩しにより生じる剰余金(資本金及び資本準備金減少差益)及び自己株式処分差益が含まれる。


 利益剰余金は、利益を源泉とする剰余金(利益の留保額)であり、以下の2つに区分
 
 利益準備金

 その他利益剰余金から配当する場合、資本準備金の額と合わせ資本金の額の4分の1に達していないときは、達していない額の利益剰余金配当割合(配当額のうちその他利益剰余金から配当する割合)か配当額の10分の1の額の利益剰余金配当割合のいずれか小さい額を計上しなければならない(会社法第445条第4項)。

 利益準備金の額の減少により生じた「剰余金」は、減少の法的手続が完了したとき(会社法第448条・第449条)に、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)に計上。

その他利益剰余金

 その他利益剰余金のうち、任意積立金(会社が独自の判断で積み立てるもので、特に目的を限定しない別途積立金、目的を限定した修繕積立金等、及び税法上の特例を利用するため設ける圧縮積立金や特別償却準備金等)のように、株主総会又は取締役会の決議に基づき設定される項目は、その内容を示す項目をもって区分し、それ以外は、「繰越利益剰余金」に区分。

 株主資本等変動計算書において、前期末のその他利益剰余金に当期純損益や配当額などの当期の変動額を加減し当期末のその他利益剰余金が示される。

●評価・換算差額等

 評価・換算差額等は、その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益等、資産又は負債に係る評価差額を当期の損益にしていない場合の評価差額(税効果考慮後の額)をその内容を示す項目で計上。

●自己株式

取得及び保有

 自己株式の取得は、実質的に資本の払戻しとしての性格⇒取得価額で純資産の部の株主資本の末尾で控除して表示。自己株式取得に関する付随費用は、営業外費用として計上。

自己株式の処分

 自己株式処分の対価と自己株式の帳簿価額との差額が差益の場合⇒「その他資本剰余金」

差損の場合⇒「その他資本剰余金」から減額し、控除しきれない場合は、「その他利益剰余金(繰越利益剰余金)」から減額。

自己株式の消却

 自己株式の消却手続が完了した時点で、消却する自己株式の帳簿価額を「その他資本剰余金」から減額し、控除しきれない揚合は、「その他利益剰余金(繰越利益剰余金)」から減額。

●株主資本等変動計算書

 株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主として、株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するもの

表示区分

 株主資本等変動計算書の表示区分は、貸借対照表の純資産の部の表示に従う

表示方法
 
 株主資本等変動計算書に表示される各項目の前期末残高及び当期末残高は、前期及び当期の貸借対照表の純資産の部の各項目の期末残高と整合したものでなければならない。

株主資本の各項目

 前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示。

 当期純利益(又は当期純損失)は、株主資本等変動計算書において、その他利益剰余金又はその内訳項目である繰越利益剰余金の変動事由として表示。

株主資本以外の各項目

 前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分し、当期変動額は純額で表示。

 当期変動額につき主な変動事由ごとにその金額を表示又は注記することもできる。



日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「純資産」の概要
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税効果会計(中小企業の会計に関する指針)

●税効果会計

税効果会計は、一時差異がある場合、利益を課税標準とする法人税等の額を適切に期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させるための手続。

一時差異は、末払事業税、賞与引当金、損金不算入の減損損失等一時差異が解消期の課税所得の減額効果を持つ将来減算一時差異と、

その他利益剰余金において処理される圧縮記帳や純資産の部に直接計上されるその他有価証券評価差額金(評価差益)等一時差異の解消期の課税所得の増額効果を持つ将来加算一時差異。

将来減算一時差異に法定実効税率を乗じた金額が繰延税金資産

将来加算一時差異に法定実効税率を乗じた金額が繰延税金負債

●繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の計上による利益剰余金増加額は、会社法上配当制限の定めがない等の理由から、その回収可能性を厳格・慎重に検討することが必要

繰延税金資産の回収可能性がある場合とは、将来減算一時差異又は税務上の繰越欠損金等が、将来の税金負担額の軽減効果を有していると見込まれる場合をいい、これ以外の場合は、回収可能性はないものと判断され、繰延税金資産は計上できない。

過年度に計上した繰延税金資産も、その回収可能性を毎期見直し、将来の税金負担額の軽減効果を有していると見込まれなくなった場合は過大な金額を取り崩す必要有。

将来の解消見込年度に相殺しきれなかった将来加算一時差異は、繰延税金資産の回収可能性判断に当たり、将来減算一時差異と相殺できない。

●回収可能性についての判断基準

 繰延税金資産の回収可能性は、会社の過去の業績等を主たる判断基準とし、将来の収益力を見積り、将来減算一時差異等がどの程度回収されるかを、以下のそれぞれの例示区分に応じて判定。

期末の将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を当期及び過去3年以上計上している場合は、回収可能性があると判断。

過去の業績が安定(当期及び過去3年経常的な利益を計上)していることから、将来も安定的な経常利益の計上が見込まれるが、期末の将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない場合は、将来減算一時差異の合計額が過去3年間の課税所得の合計額の範囲内であれば、回収可能性があると判断。

業績が不安定であり、期末の将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない場合又は税務上の繰越欠損金が存在する場合でも将来の合理的な見積可能期間(最長5年)内の課税所得見積額を限度として、一時差異等の将来解消見込みについて取締役会等による合理的な計画(スケジューリング)に基づくものであれば、回収可能性があると判断。スケジューリングを行うことができない場合又は行っていない場合は、回収可能性はないものと判断。

過去3年以上連続し重要な税務上の欠損金を計上し、当期も欠損金の計上が見込まれる会社及び債務超過又は資本の欠損の状況が長期にわたっており、短期間に当該状況の解消が見込まれない場合は回収可能性はないと判断。

●貸借対照表上の表示

 繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した賃借対照表上の資産・負債の分類に基き流動区分と固定区分とに分けて表示。

 繰越欠損金等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債で、事業年度末日後1年以内に解消見込みの一時差異等に係るものを流動区分に、それ以外の一時差異等に係るものは投資その他の資産として表示。

 同じ区分に属する繰延税金資産と繰延税金負債がある場合は、それぞれ相殺して表示。

●損益計算書上の表示

 繰延税金資産と繰延税金負債との差額の増減額は、法人税等調整額として、法人税、住民税及び事業税の次に表示。

●税効果会計適用における注記事項

 税効果会計を適用し、一時差異の金額が重要な場合、又は税引前当期純利益に対する法人税等(法人税等調整額を含む。)の比率と法定実効税率との間に重要な差異がある場合は、会社の財産及び損益の状態を正確に判断するため、以下の注記を行うことが望ましい。

繰延税金資産及び繰延税金負債の発生原因別の主な内訳

当期純利益に対する法人税等(法人税等調整額を含む。)の比率と法定実効税率との間に重要な差異があるときは、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳

回収可能性がなく、繰延税金資産から控除された額


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「税効果会計」の概要
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税金費用・税金債務(中小企業の会計に関する指針)

●法人税、住民税及び事業税

 当期の利益に関連する金額を課税標準として課される法人税、住民税及び事業税は、発生基準で当期に負担すべき金額を損益計算書に、「税引前当期純利益(損失)」の次に「法人税、住民税及び事業税」として計上。

事業年度末日時点の未納付税額は、その金額に相当する額を「末払法人税等」として貸借対照表の流勤負債に計上し、還付を受けるベき税額は、その金額に相当する額を「未収還付法人税等」として貸借対照表の流動資産に計上。

 更正、決定等により追徴税額及び還付税額が生じた場合で、その金額に重要性がある場合は、「法人税、住民税及び事業税」の次に、その内容を示す適当な名称で計上。

●源泉所得税等の会計処理

 受取配当・利子の源泉所得税のうち、法人税法及び地方税法上の税額控除の適用を受ける金額は、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」に含めて計上。

●消費税等の会計処理

 消費税等(地方消費税を含む。)は、原則として税抜方式を適用し、事業年度末における末払消費税等(未収消費税等)は、末払金(末収入金)に計上。

その金額の重要性が高い場合は、未払消費税等(末収消費税等)として別に表示。

日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「税金費用・税金債務」の要約
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退職給付債務・退職給付引当金(中小企業の会計に関する指針)

●退職給付制度

 就業規則等に基づく退職一時金、厚生年金基金、適格退職年金及び確定給付企業年金の退職給付制度の採用企業は、従業員との関係で法的債務を負っているため、引当金計上が必要。

●確定給付型退職給付債務の会計処理―原則法

 退職時に見込まれる退職給付総額のうち、期末までに発生していると認められる額を一定の割引率及び予想残存勤務期間に基づいて割引計算した退職給付債務に、末認識過去勤務債務及び末認識数理計算上の差異を加減した額から年金資産の額を控除した額を退職給付引当金として計上。

●確定給付型退職給付債務の計算方法―簡便的方法

 退職一時金制度の場合、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とすることは、会社が自ら計算できる方法である。

 確定給付型の企業年金制度でも、支給実績として従業員が退職時に一時金を選択することが多い場合、退職一時金制度と同様に退職給付債務を計算できる。

●中小企業退職金共済制度等の会計処理

 中小企業退職金共済制度、特定退職金共済制度及び確定拠出年金制度のように拠出以後に追加負担が生じない外部拠出型制度は、要拠出額である掛金を費用処理。

 退職一時金制度等の確定給付型と併用の場合は、それぞれ会計処理する必要がある。

 退職一時金の一部を中小企業退職金共済制度等から支給する場合は、期末自己都合要支給額から同制度より給付される額を除いた金額による。

●退職金規程がなく、退職金等の支払に関する合意も存在しない場合

 退職金規程がなくかつ退職金等の支払に関する合意もない場合は、退職給付債務の計上は原則不要。
 
 退職金の支給実績があり、将来も支給する見込みが高く、かつ、その金額が合理的に見積ることができる場合は、重要性がない場合を除き、引当金を計上する必要がある。

●特 則

 退職給付引当金を計上していない場合、一時に処理することは、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性が高い。

 本指針適用に伴い新たな会計処理の採用により生じる影響額(適用時差異)は、通常の会計処理と区分し、10年以内の一定の年数又は従業員の平均残存勤務年数のいずれか短い年数で定額法により費用処理できる。この場合は末償却の適用時差異の金額を注記。


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「退職給付債務・退職給付引当金」の要約
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2006年11月29日

引当金(中小企業の会計に関する指針)

●設定要件

次のすべての要件に該当するものは、引当金として計上しなければならない。

 @ 将来の特定の費用又は損失であること

 A 発生が当期以前の事象に起因していること

 B 発生の可能性が高いこと

 C 金額を合理的に見積ることができること

引当金のうち、当期の負担に属する部分の金額を当期の費用又は損失として計上しなければならない。

●引当金の区分

賞与引当金等の法的債務(条件付債務)である引当金は、負債として計上しなければならない。

修繕引当金等のように、法的債務でないが、将来の支出に備えるための引当金は、金額に重要性の高いものがあれば、負債としての計上が必要。

●会計及び税法の関係

●会計上の引当金

1.評価性引当金  

 貸倒引当金…税法⇒損金算入限度額あり

 負債性引当金


2.債務性引当金

返品調整引当金…税法⇒損金算入限度額あり

賞与引当金、退職給付引当金、製品保証引当金、売上割戻引当金、工事補償引当金等…税法⇒損金不算入

3.非債務性引当金

修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、役員賞与引当金…税法⇒損金不算入

●表示

引当金は、その計上の目的を示す適当な名称を付して記載しなければならない。

引当金繰入額は、その引当金の目的等に応じ、損益計算書において、売上高の控除項目、製造原価、販売費及び一般管理費又は営業外費用として、その内容を示す適当な項目に計上。

●引当金の計上額

従業員に対する賞与

 翌期に従業員に対し支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額は、賞与引当金として計上しなければならない。

「中小企業の会計に関する指針」では、賞与について支給対象期間の定めのある場合、又は支給対象期聞の定めのない場合でも慣行として賞与の支給月が決まっているときは、
平成10年度改正前法人税法に規定した支給対象期間基準の算式で算定した金額が合理的である限り、この金額を引当金の額とすることができる。

(参考:平成10年度改正前法人税法)

繰入額=(前1年間の1人当たりの使用人等に対する賞与支給額×当期の月数/12−当期において期末在職使用人等に支給した賞与の額で当期に対応するものの1人当たりの賞与支給額)×期末在職使用人等の数

役員に対する賞与

役員賞与は発生した会計期間の費用として処理。当期の職務に係る役員賞与の支給を翌期に開催される株主総会で決議する場合は、その決議事項とする額又はその見込額を、原則として、引当金に計上。


日本公認会計士協会・日本税理士会連合会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 公表 「中小企業の会計に関する指針」平成18年4月25日改正 「引当金」の概要
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